数々の感染症に関する著書なども出版されている、医師界では知らない人はいないという岩田健太郎医師がダイヤモンドプリンセス号に感染症対策の力になろうとなんとか船内に入れたものの、1日で追い出されてしまいました。
一体ダイヤモンドプリンセス号の内情と何故岩田医師はダイヤモンドプリンセス号を追い出されてしまう事になったのでしょうか?
動画を文字起こしをしてまとめてみました。
岩田健太郎医師はダイヤモンドプリンセス号の実状を語る
神戸大学病院感染症内科教授をしていますけれども、今からお話しする内容は神戸大学など所属する機関とは一切関係なく私個人の見解です。
予め申し上げておきます。
今日2月18日プリンセス・ダイヤモンドに入ったんですけど、1日で追い出されてしまいました。
何故そういうことが起きたのかについて、簡単にお話ししようと思います。
ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。 https://t.co/g2d1C5HSuI @YouTubeさんから ダイヤモンド・プリンセスに入りましたが、何者かによって1日で追い出されました。感染対策は飛散な状態で、アフリカのそれより悪く、感
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) February 18, 2020
[box class=”glay_box” title=”岩田 健太郎”]
1971年 島根県生まれ
日本の医師、神戸大学教授。
島根医科大学卒業。
沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院などで研修後、米国、中国で医師として勤務。
2004年から亀田総合病院で感染症内科部長、総合診療感染症科部長、
2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)、同大学医学部附属病院感染症内科診療科長。
はじめ「最上丈二」の筆名を用い、のち多くの啓蒙的著作で知られ、またHPVワクチンへのこだわり、フェニミズムへの批判活動でも存在感を発揮する。[/box]
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岩田健太郎医師は何故1日でダイヤモンドプリンセス号から追い出されたのか?(動画全文)
感染対策はうまくいってないんじゃないかという懸念
もともと、プリンセスダイヤモンドはすごくCOVID-19の感染症がどんどん増えていくということで、感染対策はすごくうまくいってないんじゃないかという懸念がありました。
環境感染学会が入り、FETPが入ったんですけど、あっという間に出て行ってしまって中がどうなっているかよくわからないという状態でした。
※FETP:Field EpidemiologyTrainingProgram 実地疫学専門家養成コース
中の方からいくつかメッセージをいただいて「凄く怖い」と、「感染が広がっていくんじゃないか」という事で私に助けを求めてきたので、いろんな筋を通じて何とか入れないかという風に打診してたんですね。
そうしたら昨日2月17日に厚労省で働いている某氏から電話がきて「入ってもいいよ」と「やり方を考えましょう」ということでした。
プリンセスダイヤモンド号の中へ入れた経緯は?
最初、環境感染学会の人として入るという話だったんですけれども、環境感染学会はもう中に人を入れないという決まりを作ったので、岩田一人を例外にできないということでお断りをされて結局、、DMAT災害対策のDMATのメンバーとして入ってはどうかというご提案を厚労省の方からいただいたので、わかりましたということで18日朝に新神戸から新横浜に向かったわけです。
※DMAT:Disaster Medical Assistance Team 災害派遣医療チーム
そうしたら途中で電話がかかってきて、誰とは言えないけど非常に反対している人がいると、入ってもらっては困るということでDMATのメンバーで入るという話は立ち消えになりそうなりました。
すごく困ったんですけど、何とか方法を考えるということでしばらく新横浜で待っていたらもう1回電話がかかってきて、DMATの職員の下で感染対策の専門家ではなく、DMATの一員としてDMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげるという非常に奇妙な電話をいただきました。
なぜそういう結論が出たのかわからないですけど、とにかく言うことを聞いてDMATの中で仕事をしてだんだん顔が割れてきたら感染のこともできるかもしれないから、それでやってもらえないかと非常に奇妙な依頼を受けたんですけど、他に入る方法はないものですから「分かりました」と言って現場に行きました。
ダイヤモンド・プリンセスの中の実際の船内の中の実状は?
そしてダイヤモンド・プリンセスに入ったわけです。
入ってご挨拶をして、最初は「この人の下につけ」と言われた方にずっと従っているのかな?と思ったら、DMATのチーフのドクターとお話をして、そうすると「お前にDMATの仕事は何も期待していない、どうせ専門じゃないし、お前は感染の仕事だろう、感染の仕事やるべきだ」という風に助言をいただきました。これDMATのトップの方です、現場のトップの方。
そうなんですかと、私はとにかく言うことを聞くと約束していましたので、感染のことをやれと言われた以上やりましょう、ということで現場の案内をしていただきながら色んな問題点というものを確認していったわけです。
それはもうひどいものでした。もうこの仕事20年以上やってですね、アフリカのエボラとか中国のSARSとか色んな感染症と立ち向かってきました。
もちろん身の危険を感じることは多々あったんですけど、自分が感染症にかかる恐怖っていうのはそんなに感じたことはないです。
どうしてかというと、僕はプロなので自分がエボラにかからない、SARSにかからない方法っていうのは知ってるわけです。
あるいは他の人をエボラにしないSARSにしない方法とか、施設の中でどういうふうにすれば感染がさらに広がらないかという事も熟知しているからです。
それが分かっているから、ど真ん中に居ても怖くない。
アフリカに居ても中国に居ても怖くなかったわけですが、ダイアモンドプリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました。
これはもうCOVID-19に感染してもしょうがないんじゃないかと本気で思いました。
レッドゾーンとグリーンゾーンというんですけど、ウイルスが全くない安全なゾーンとウイルスがいるかもしれない危ないゾーンというのをきちっと分けて、レッドゾーンでは完全にPPEという防護服をつけ、グリーンゾーンでは何もしなくていいとこういうふうにきちっと区別することによってウィルスから身を守るというのは我々の世界の鉄則なんです。
ところが、ダイヤモンドプリンセスの中はグリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別かつかない。
ウイルスって目に見えないですから、完全なそういう「区分け」をすることで初めて自分の身を守るんですけど、もうどこの手すりと、どこのじゅうたん、どこにウイルスがいるのかさっぱり分からない状態でいろんな人がアドホックにPPEをつけてみたり手袋をはめてみたり、マスクをつけてみたり、つけなかったりするわけです。
クルーの方もN95(医療用マスク)をつけてみたりつけなかったり、あるいは熱のある方がですね、自分の部屋から出て歩いて行って医務室に行ったりするっていうのが通常で行われているということです。
私が聞いた限りではDMATの職員それから厚労省の方、検疫官の方がPCR陽性になったという話は聞いてたんですけどそれはもう「むべなるかな」と思いました。
中の方に聞いたら「いやー我々もこれ自分たちも感染するなと思ってますよ」という風に言われてびっくりしたわけです。どうしてかというと我々がこういう感染症のミッションに出る時は必ず自分たち医療従事者の身を守るっていうのが大前提で、自分たちの感染のリスクをほったらかしにして患者さんとかですね、一般の方々に立ち向かうってのは御法度、これもうルール違反なわけです。
環境感染学会やFETP(国立感染症研究所の実地疫学専門家)が入って数日で出て行ったっていう話を聞いたときにどうしてだろう?と思ったんですけど、中の方は「自分たちに感染するのが怖かったんじゃない?」という風におっしゃっていた人もいたんですが、それは気持ちはよく分かります。
なぜならば、感染症のプロだったらあんな環境に行ったら、ものすごく怖くてしょうがないからです。
現在、岩田医師も隔離して休診中
僕も怖かったです。
これはもう感染、今これ某ちょっと「言えない部屋」にいますけど、自分自身も隔離して診療も休んで家族とも会わずにいないとヤバいんじゃないかと、個人的にはすごく思っています。
今、私がCOVID-19、ウイルスの感染を起こしても全く不思議ではない。
どんなにPPEとかですね、手袋とかあってもですね、「安全と安全じゃないところ」っていうのをちゃんと区別できてないと、そんなものは何の役に立たないんですね。
レッドゾーンでだけPPをキチッとつけて、安全に脱ぐっていうことを遵守して初めて自らの安全が守れる。
自らの安全が保障できないときに他の方の安全なんか守れない。
今日は藤田医科大学に人を送ったり搬送したりするってことで皆さんすごく忙しくしてたんですけど、そうすると、検疫所の方と一緒に歩いてて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりするわけです。
「あ!今、患者さんとすれ違っちゃう!」と、笑顔で検疫所の職員が言っているわけですよね。
我々的には超非常識なこと平気で皆さんやってて、みんなそれについて何も思っていないと。聞いたら、そもそも常駐してるプロの感染対策の専門家が一人もいない。
時々いらっしゃる方いるんですけど、彼らも結局ヤバいなと思ってるんだけど何も進言できないし、進言しても聞いてもらえない。
岩田医師をプリンセスダイヤモンド号から追い出したのは?
やってるのは厚労省の官僚たちで、私も厚労省のトップの人に相談しました、話しましたけど、ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気ないと。
で、「なんでお前がこんなとこにいるんだ」「何でお前がそんなこと言うんだ」みたいな感じで知らん顔するということです。非常に冷たい態度を取られました。
DMATの方にもそのようなことで「夕方のカンファレンスで何か提言申し上げてもよろしいですか」と聞いて「まあ、いいですよ」という話をしてたんですけど、突如として夕方5時ぐらいに電話がかかってきて「お前は出ていきなさい」と検疫の許可は与えない、まあ、臨時の検疫官として入ってたんですけど、その許可を取り消すということで資格を取られて検疫所の方に連れられて、当初電話をくれた厚労省にいる人に会って「なんでDMATの下でDMATの仕事をしなかったの」と「感染管理の仕事をするなと言ったじゃないか」と言われました。
「DMATの方にそもそも、感染管理してくれって言われたんですよ」って話したんですけど、
とにかく岩田に対してすごいムカついた人がいると、誰とは言えないけどムカついたと、だからもうお前はもう出ていくしかないんだ、って話をしました。
でも僕がいなかったら、いなくなったら今度、感染対策するプロが一人もいなくなっちゃいますよって話をしたんですけど、それは構わないんですか?って聞いたんですけど、それからこのままだと、もっと何百人という感染者が起きてDMATの方も…… DMATの方を責める気はさらさらなくて。
あの方々は全く感染のプロではないですから、どうも環境感染学会の方が入った時にいろいろ言われて、DMATの方は感染のプロ達にすごく嫌な思いをしてたらしいんですね。
それはまあ、申し訳ないなあと思うんですけれども別に彼らが悪いって全然思わない。専門領域が違いますから。
しかしながら「彼らが実は恐ろしいリスクの状態にいる」わけです。「自分たちが感染する」という。
それを防ぐこともできるわけです、方法ちゃんとありますから。
ところがその方法が知らされずに自分たちをリスク下においていると。そしてそのチャンスを奪い取ってしまうという状態です。
彼ら医療従事者ですから、帰ると「自分達の病院」で仕事するわけで、今度はそこからまた院内感染が広がってしまいかねない。
もう…これは、あの…大変なことでアフリカや中国なんかに比べても全然ひどい感染対策をしている。
シエラレオネなんかの方がよっぽどマシでした。
日本にCDC(疾病予防管理センター)がないとは言え、まさかここまでひどいとは思ってなくて、もうちょっとちゃんと専門家が入って専門家が責任を取って、リーダーシップを取ってちゃんと感染対策についてのルールを決めてやってるんだろうと思ったんですけど、まったくそんなことはないわけです。もうとんでもないことなわけです。
これ英語でも収録、つたない英語で収録させていただきましたけど、とにかく多くの方にこのダイヤモンド・プリンセスで起きている事っていうのをちゃんと知っていただきたいと思います。
できるならば学術会とかですね国際的な団体に日本に変わるように促して頂きたいと思います。
ダイヤモンドプリンセスの中で起きていることの情報公開をしていない
考えてみると、03年のSARSの時に僕も北京に居てすごい大変だったんですけど、特に大変だったのはやっぱり「中国が情報公開を十分してくれなかった」っていうのがすごく辛くて、何が起きてるのかよくわからないと。北京に居て本当に怖かったです。
でもその時ですら、もうちょっときちっと情報は入ってきたし、少なくとも対策の仕方は明確で、自分自身が感染するリスク、まあSARS死亡率10%で怖かったですけれども、しかしながら今回のCOVID-19、少なくともダイヤモンドプリンセスの中のそのカオスの状態よりはるかに楽でした。
で思い出していただきたいのはそのCOVID-19、中国で武漢で流行り出した時に警鐘を鳴らしたドクターがソーシャルネットワークを使って「これはヤバイ」ということを勇気を持って言ったわけです。
昔の中国だったら、ああいうメッセージが外に出るのは絶対許さなかったはずですけど、中国は今BBCのニュースなんかを聞くとやっぱりオープンネスとトランスペアレンシー(透明性)を大事にしているという風にアピールしてます。
それがどこまで正しいのかどうか僕は知りませんけど、少なくとも透明性があること、情報公開をちゃんとやることが国際的な信用を勝ち得る上で大事なんだってことは理解しているらしい。
中国は世界の大国になろうとしてますから、そこをしっかりやろうとしている。
ところが日本は、ダイヤモンドプリンセスの中で起きていることは全然情報を出していない。
それから、院内感染が起きているかどうかは発熱のオンセット(発症日時)をちゃんと記録してそれからカーブを作っていくという統計手法「epi-curve(エピカーブ)」ってのがあるんですけどそのデータは全然取ってないということを今日教えてもらいました。
検査をした、PCRの検査をした日をカウントしても感染の状態は分からないわけです。
このことも実は厚労省の方にすでに申し上げてたんですけど、何日も前に。
全然されていないと、いうことで、
要は院内の感染がどんどん起きててもそれに全く気付かなければ、気付いてもいないわけで、対応すらできない、で専門家もいないと。
グチャグチャな状態になったままでいるわけです。
このことを日本の皆さん、あるいは世界の皆さんがを知らぬままになっていて、特に外国の皆さんなんかはそうやって、かえって悪いマネジメントでずっとクルーズの中で感染のリスクに耐えなきゃいけなかったということですね。
やはりこれ日本の失敗な訳ですけど、それを隠すともっと失敗なわけです。
確かに「まずい対応であるということがバレる」っていうのはそれは恥ずかしいことかもしれないですけど、これを隠蔽するともっと恥ずかしいわけです。やはり情報公開は大事なんですね。
誰も情報公開しない以上は、まあここでやるしかないわけです。
ぜひこの悲惨な現実を知っていただきたいということと、ダイヤモンドプリンセスの中の方々、それからDMATやDPATや厚労省の方々がですね。
あるいは検疫所の方がもっとちゃんとプロフェッショナルなプロテクションを受けて安全に仕事ができるように。
彼ら、本当にお気の毒でした。
ということで、全く役に立てなくて非常に申し訳ないな、という思いとこの大きな問題意識を皆さんと共有したくてこの動画を上げさせていただきました。
具体的な名前はさすがに出されていませんが、かなり上の圧力が働いているという事は、プリンセスダイヤモンド号に入る前も追い出される時もわかります。
岩田健太郎医師の注意喚起に対する反応は?
岩田医師個人の評価はともかく、発言した内容は本人の視点からは事実なのでしょう。そして、勿論、厚労省側の担当者にも言い分はあるでしょう。
重要なのは、専門家として発言している「DP号の船内検疫体制に不安を感じた」という部分。— Kazuo Uozumi (@forthman) February 19, 2020
3,4行目の比喩のことを言ってるんですが、それが分からないとは残念です。
私に構ってるより、DP号に乗船した岩田医師の報告を読んだ方がいいと思います。
罹患する人がもっと増える上に、政府は今日下船させるのですから。— siesta1011 (@siesta10111) February 19, 2020
山井和則議員
DP号に関して岩田医師の訴え
船内は悲惨な状態。意志決定に専門家が入らず厚労省官僚が決定している。
「対策が不十分だったと認めるか」
加藤大臣「入港する前に感染していた可能性がある」#国会#衆議院予算委員会#棚橋泰文委員長は頼むからご静粛に#ANAホテル広報お疲れさま— chinoco (@buchinoco) February 19, 2020
コロナウイルス対策会議など国会が今後荒れそうな予感です。